はじめまして。YASO製造担当の梅田です。
今回diaryを書くことになりましたので、ご一読いただければ幸いです。
ここ新潟でも日を追うごとに春を感じるようになりました。
会社の周りを歩いていると春風で木々が揺れる音や、鳥のさえずりが聞こえてきます。
気分はすっかり春ですが今回のキーボタニカルとの出会いは冬が始まったころでした。
『搾汁したあとに残るみかんの皮、何かに使えないかな?』昨年の終わりごろの話でした。みかんの蒸留、面白そうなので是非とも挑戦したいと思い、サンプルをお願いしました。
年も明けた頃にいただいたのは向山温州(むかいやまうんしゅう)という品種のみかんで、和歌山県にある善兵衛農園でつくられています。
七代目園主の井上信太郎さん曰く、同じ品種でも環境が違うと仕上がりが変わってくるそうで、
海が近く温暖で特に日当たりの良い園地に限定して作り管理することで、味も香りもより良いものが育つそうです。
早速、試験用の蒸留器で蒸留してみます。
蒸留した液はみかんの皮のとてもいい香り、やさしいミカンの香りがします。
手ごたえを感じたので、ある程度の量を購入し冷凍保存しました。
いつ蒸留しようかな、あとは予定を入れるだけ、のはずでした。
何日か過ぎたころ試作蒸留液の香りを確かめるとなぜだろう、そこにみかんの香りは無く、何とも言えない不思議な香りがしていました。
月日は流れ、再びみかんの皮を蒸留する機会に恵まれました。
前回の状況を参考に抽出方法、蒸留方法を検証し実践してみることに。
抽出方法としては、みかんの皮をアルコールに浸漬させる時間を調整したことで、蒸留された液体は数日置いてもみかんの香りを纏っていました。
蒸留方法としては、みかんの蒸留は単体でおこないました。
みかんの香りが蒸留の最初の方に多いので単体で蒸留することにより積極的に取りにいきました。
また、それとは別にジュニパーベリーやハーブ、スパイスなどを配合してジンのベースを蒸留しますが、通常より濾過工程を増やしてみかんの香りを濁らせないようにしました。
これらの蒸留液をブレンドし、割合を探っていきます。
これも割合によって全く香りや味わいが変わってしまうので理想の状態を求めていく作業が続き、そしてレシピは完成しました。
ここからレシピを元に蒸留も本番を迎えます。
試験に比べて蒸留器が変わることや使用原料の量が増えるので、実際に蒸留しながら調整をしていきます。
今回でいえば、みかん単体とジンベースの蒸留をそれぞれ数回から数十回おこなうので1回目の結果を2回目に、2回目の結果を3回目に、といった具合に蒸留の具合や原料の量などを調整していきました。
みかんの香りがやさしい香りなので、それが消えないようにしながらも他の香りも出す必要があるので蒸留期間中はかなり悩みましたが、それが楽しさや面白さでもあります。
今回のジンは個人的にはジントニックがおすすめです。
みかんの皮の苦味がトニックウォーターで心地よくなります。
あとは水割りも良かったので試してみてほしいです。
発売は4月15日、よろしくお願いいたします。