2022 Limited Ed. 05「クロモジ」

こんにちは。今回ダイアリーを担当いたします、山田です。
桜の季節も終わり、緑の葉が生い茂る心地よい日々が続いていますね。
皆様いかがお過ごしでしょうか?私はGWが近づいていることもあり若干浮足立っております。

さて、過ごしやすく緑が豊かになり、少しずつ夏が顔を出してくる5月。
そんな今月のリミテッドジンのキーボタニカルは「クロモジ」です。

長岡から運んだクロモジ

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、クロモジは日本の山に自生するクスノキ科の木でテルピネオールやリナロール、シネオール、リンネンなどが含まれています。
国産のジンにボタニカルとして使用されていることが多いのですが、クロモジの根を煎じたものは「鳥樟脳」あるいは「釣楠」という生薬となり、薬用酒などにも使われているそうです。
ほかにも果実や枝葉から採取される「クロモジ油」は化粧品や香料にも使われていて、枝は高級爪楊枝やお箸として古くから使われています。
歯ブラシの無い時代には枝をさき、現在の歯ブラシのようにして使っていたそうです。
いろいろな用途で使われているクロモジですが、今回は枝をふんだんに使用し蒸留しています。
クロモジが前面に出ており、感じていただきやすい香りになっていると思われます。

今回使用したクロモジは、NPO団体『UNE』さんのものです。
たくさんのクロモジありがとうございます!
そして取りに行ってくださった梅田部長、ありがとうございます^^

今回の蒸留もクロモジとベースとなるジンを別々に蒸留し後からブレンドしています。
ちなみに、クロモジ単体蒸留もジンを蒸留する際も、一度炭濾過しているベースを使用しました。
炭濾過することでよりクロモジのエレガントでクリアな香りを引き立たせるためです。
海外向けなどで何度か炭濾過した原料アルコールを使用しているのですが一度炭濾過をするだけでまったく香りが変わり、インクや除光液のような匂いになります。
除光液と聞くとツンとしているイメージで香りが出るのか・・?と感じますが蒸留の最初の方(ヘッド部分)でツンとした香りがとれ、香りが乗りやすくなります。

細かい工程は割愛しますがベースがクリアになることでトップに訪れる、消えやすく隠れてしまうような香りが乗ってくれるので、よりジンを華やかにしてくれます。

水でさらしたクロモジ

クロモジを蒸留する際には枝を切り水で軽く洗い、さらしてから始めます。
いろいろなやり方で試作をしたのですが、その中でもこの方法が1番木の灰汁っぽさが消え、クロモジの良い香りがなお一層引き立つように感じられました。
ちなみに、カットしたクロモジを水で軽く洗っただけにも関わらず、枝を除いてみると水が墨汁のような色になっていました・・想像していなかったのでかなり驚きました。水の量が少ないと蒸留した際に若干漬物のような要素がありました・・
蒸留を開始し何度か味見や香りを確かめるのですが、毎回変わっていく香りや味にもかかわらずどの段階でも個人的にとても好みなものでした。
最初の方は若干木の灰汁っぽさがあるものの自然由来の香水のような香りがしており、味わいに関しては卵を使った焼き菓子のような甘いやさしいものでした。

そこからまたブレンドに使用する部分を取り始めていくのですが言葉では表しにくい、とても良い香りがしました。
個人的な香りのイメージになってしまうのですが木漏れ日が降り注ぐ薄く霧がかかった森林が想像できました。
森の要素と少し水のような感じがありました。
味わいは、柑橘系のような雰囲気もありつつエレガントな味わいで少しラムネのような感じもしました。
蒸留中周りにもクロモジの良い香りが広がっていたのですが、クロモジに含まれる成分のうちリナロールはリラックス効果があるそうで、蒸留中とても気分がよくずっとクロモジの香りを嗅いでいたくなっていました。

個人的にとても香水が好きで、特にバニラ系やオリエンタルなものを集めているのですが今回の蒸留を通してクロモジの良さを知ることができたので、今度はクロモジが使われている香水や化粧品を買ってみたいと思います。
様々なボタニカルと触れ合う機会が増え香りがするものを買うときに何が入っているのかを見てみたり、これは○○の香りかな・・?と考えるのが最近の密かな楽しみだったりもします^^

ダイアリーを書くに当たって含まれている成分が何なのかとても気になり調べてみたところ、クロモジに含まれているシネオールはヨモギにも多く含まれているそうです。
なぜ急にヨモギ?と思われた方もいらっしゃると思いますが、ヨモギは使用しているスピリッツ(原料アルコール)に含まれる植物の中で大半を占めている植物なのです。
よって、よりお互いの良さを引き立たせ、相性がいいのではないかと感じました。

切断したクロモジ

始めにも書いたのですが、今回のlimited edition 05「クロモジ」はクロモジを前面に感じていただけると思います。
だからと言って元のベースとなっているジンと喧嘩することなくお互いの良い部分を引き立てています。
YASOの草原を思わせるような爽やかな香りと味わいを感じつつ、さらにクロモジの高級感のあるクリアな香水のような香り、そして柑橘にも似た爽やかな味わいが合わさりこれからの季節にぴったりなジンに仕上がっていると思います。
過ごしやすい季節ではあるものの、五月病や日々の疲れで気分が乗らない時もあると思います。
そんな時にぜひ、クロモジの香りに癒され少しでもリラックスしていただきたいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。来月のダイアリーも楽しみにして頂けると幸いです。
ではまた~~