2022 Limited Ed. 09「ラベンダー」

こんにちは、YASO蒸留家の杉川です。
YASOは本社隣の新蒸留所「越後薬草蒸留所」が完成し、引っ越しを終えたところで、
次は10 月のオープニングセレモニーに向けた準備が進んでいます。
新しい蒸留所の3階はレストランも併設されていて、ペアリングレシピを楽しむ事もできます。

さて、9月の限定品は「ラベンダー」のジン。
ノンアルコールYASOジンでも大好評のラベンダーが、今回はついにリミテッドジンで登場です。
そして今回のラベンダージンは、新しい蒸留所に引っ越してからはじめて蒸留をおこなった記念すべきジンでもあります。

ラベンダーの咲いた様子

使用したラベンダーは新潟市江南区でラベンダーを栽培する「新潟・ラベンダー物語」さんで収穫させていただいたもの。
こちらでは、いちごを育てていた畑の休耕地を有効に使おうと、ラベンダー栽培をおこなわれています。
そんなラベンダー物語さんへご連絡したのが6月のはじめのこと。
代表の真木さんが越後薬草の主力表品でもある酵素ドリンクからできるこのジンに興味を持ってくださり、快く了承いただけました。ありがとうございます。

そう、つまり9月のリミテッドは、
「休耕地を利用したラベンダー」と「副産物のアルコールからできるジン」を掛け合わせたラベンダーのジン。
なんだかとても可能性にあふれた商品だと思いませんか。

収穫に伺ったのは7月のはじめ、太陽のよく照った暑い日でした。
遠目にもわかるラベンダー色の畑のわきに車を止めて降りると、ふんわりと漂うラベンダーの香り。

こちらのラベンダーは、アロマオイルなどに加工されて販売もされているそう。
ご挨拶をして、教わりながらラベンダーを収穫していきます。

ラベンダー

収穫しているとクマバチがブンブンと羽音を響かせながら蜜を吸い、それを狙ってか大きなクモが巣を張り巡らせていたり。
きっと、いい餌場なんだろうな…と自然を感じる収穫作業。
お話を伺っていると、真木さんは収穫の際、蜂などの餌になるよう少しだけ花を残しているのだとおっしゃっていました。
なるほどと思い、私も少しずつお花を残しながら収穫。

摘み取った後、少し花を残したラベンダー株

そしてラベンダーは、育つ土地の環境でも香りが変わるのだそうです。
乾燥した厳しい土地でも育つのが特徴のラベンダー。
新潟・ラベンダー物語さんでは新潟市と長岡市、十日町市などにラベンダーを植えていて、それが畑によって香りが違うんですとのこと。
確かに同じ植物だって環境によって育ち方が違うんだから、香りが違っても不思議じゃないですよね。
ぜひ来年は十日町にも収穫に行きたいな…

ラベンダー物語のラベンダー畑の様子

そんなラベンダーにはおもしろい歌もあるんですよと教えていただいたのが、千夜一夜物語の一節。

“おお、私はなんと幸せなことか。
花壇を飾るあれやこれやの花々の一つでもなく、
卑しい手に摘み取られる気遣いもない。
そして、くだらぬおしゃべりに煩わされる心配もない。
さまざまなほかの植物、私の姉妹たちとは違って、
自然は私を小川から遠く離れた場所で育つようにしてくれた。
私は耕された場所と文明のある土地を好まない。
私は野生のもの、人の世から遥かに離れた
荒野と孤独の中に私はとどまる。
なぜなら、私は群衆に混じるのが嫌いだから。――――。
自由、私は自由!“

…なんとも力強く、文明を突き放すような、孤独を愛する歌というのか…
確かにラベンダーの自生する姿を見ると、あの厳しい環境で力強くまっすぐと、強い芳香を漂わせながら自分を主張しているような姿は、まさにこんなイメージでしょうか。

…なんか卑しい手で摘んでしまってごめんね。という気持ちが芽生えつつ、
ラベンダーのように孤独を愛する方のひとり飲みにも寄り添うような、美味しいジンに仕上げたいなと蒸留を開始。

収穫したらラベンダーは花と茎に分けて保存。
蒸留の際は茎と花の一部をスピリッツに漬け込みふんわりと甘いラベンダーの香りを効かせ、残りの花はバスケット蒸留で香りを最大限に引き出せるよう工夫しました。
茎は浸漬すると、穏やかな緑の香りの中にふんわりと甘い桜のような香り。
花はラベンダーらしい、華やかでオイリーで少し柑橘っぽい香り。
このどちらも生かして、花だけじゃない茎の香りも纏わせたラベンダーの香りのジンを目指しました。

ラベンダーの茎を浸漬した様子
ラベンダーの茎を浸漬したアルコール

そしてベースとなるジンもいつもと配合を変えています。
ラベンダーの香りに寄り添うようにハーブやスパイスなどの配合を調整。
華やかな香りを引き立たせるジンベースに仕上げました。

蒸留器の中のボタニカル

そして、今回のLimited Ed.09は昨年蒸留家として入社した山田と杉川が、企画からボタニカルの栽培者探し、収穫、レシピの作成、蒸留まで行った初のデビュー作でもあります。
常套句ではありますが、本当に自分の子供を送り出すようなドキドキした気持ちです。
新しい越後薬草蒸留所での初蒸留で、山田と私のデビュー作。
ドキドキせずにはいられません…

少しずつ涼しくなっていくこれからの季節。
ふんわり漂う、甘いラベンダーの香りで癒しの時間をお過ごしください。
Limeted Ed.09「ラベンダー」の発売は9月15日(木)。

摘み取ったラベンダー

どうか、このジンが皆さまに愛されますように。