THE HERBALIST YASO Premium Edition "Sillage léger"

皆さん、初めまして。今回ダイアリーを担当します蒸留を担当している布施です。

最近は肌寒い日も増え、久しぶりに秋の訪れを感じるようになりました。気がつけば、2年ぶりくらいに「秋らしい秋」が来たような気がします。私は四季の中でも、空気がどんどん澄んでいく秋がいちばん好きです。このままずっと秋だったらいいのになーと思いながら、のんびり過ごしてます。

さて、初めてのPremium Edition。メインボタニカルに選んだのは「桃」です。
実はこのジン、数量限定でのご案内となる特別な一本。
昨年のリミテッドエディションに少し参加した経験から、「もし自分がメインで製造を担当するなら何を使いたいか」と考えたとき、すぐに思い浮かんだのが、フルーツの中で一番好きな「桃」でした。

使用したのは、長野県産と新潟県三条市産の桃。届いたその日から一つずつ香りを確かめ、完熟を見極めてから使用しています。今回のボタニカルは、ジュニパーベリー、桃、ジャスミンの花の3種のみ。ジュニパーベリーと桃は、個別に常圧蒸留し、ジャスミンは減圧蒸留で、素材ごとの良さを引き出しました。しかし、この3種だけの設計でも納得のいくバランスに仕上げるまでには、試作と検証を幾度も重ねる必要がありました。

着手前、蒸留所の中で話していた時に桃を使ったジンを知る機会があり、試飲した瞬間に、「これだ!」と、自分の中のイメージに合う香りに出会いました。その体験をもとに、今回の方向性を固めています。実際に桃をYASOの原酒と合わせた時に桃の香りを引き立たせるにはどうしたらいいのだろう…そういう話を蒸留所でしていた時、「アルコール度数を変えていくつか蒸留してみようか」という話になり、何度も試作と調整を繰り返しました。結果として、低めのアルコール度数で蒸留することで、桃のフレッシュな香りを引き出すことができました。

低めのアルコール度数で蒸留した桃からは、まずフレッシュな桃の香りが立ち上がってきました。蒸留を進めると、次第にバターのような乳感のある香りが立ち上がり、そのタイミングを慎重に見極めカットを行いました。ジュニパーベリーのパーツと合わせてみると、桃の濃厚で甘い香りがしっかりと引き立ちました。ただ、それだけでは味に締まりがなく、お酒というよりもジュースのような印象に。そこで、後味を締める要素として何度も試行錯誤を重ね、桃の香りを邪魔せず、より一層引き立たてる理想的な素材として、ジャスミンの花にたどり着きました。甘く柔らかな味わいの中にある、ほんのわずかな花の渋みが全体を整えてくれています。

このジンには「シヤージュ レジェ(Sillage léger)」という名を付けました。フランス語で“軽やかな残り香”を意味するこの言葉には、飲み終えた後にも香りがそっと余韻として広がり、記憶に残るような、−−−そんな1本でありたいという願いを込めています。

企画段階から蒸留に至るまで、何度も立ち止まり、調整を重ねながらじっくりと時間をかけて仕上げた一本。そのため、製造本数はごくわずか。希少性の高い限定商品となっております。 ぜひ「シヤージュ レジェ」という名前に込めた想いとともに、桃の繊細な香りが織りなす豊かな味わいをご堪能ください。

11月15日(土)発売になっています。ぜひ、お楽しみください!